2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

私の星

自分が普通の女の子だな、と世界を諦めたのはおそらく小学校低学年くらいだったと思う。周りの子がキラキラして見えたから。さえちゃんは色が白くて顔が可愛かった。ゆなちゃんもおっとりしていて髪がつやつやで、なんでも知っていて好きだった。私は抜けて…

注射の時に歌う歌

地元の歯医者の歯科助手の腕にたくさんの線を見つけてしまったとき。高校3年生の私は、もう1個1個のなにかしらに動じないような頭になっていたように思う。線があるな、と思って終わった。それは、少なくともネガティブな意味を持つものに違いないのだけど、…

鈍く光る

幸せはきっと手元にあるときにその存在や輪郭を正確になぞることが出来ない。みさきくんにもう二度と会えないかもな、とぼんやり考えながらあの苦痛だった高校時代に思いを馳せた。プールの授業、水面がキラキラ光って私を驚かしてみせた。プールサイドが照…

しらべ

早朝の公園って私にとって切なさの象徴だ。あるときは、父親とのお別れの日だった。家の近くの公園に父が来ていて、母が私と妹を外に連れ出した。朝は、5時とか6時くらいだった。肌寒かったけど、長袖ではなかったと思う。私が5歳の頃から香港で単身赴任をし…

夜景を見て泣いた

1人で都庁の展望室に来た。金曜の夜だから、人がすごく多い。おそらく観光なのだろうなという集団とも、仕事が終わって1人で来たであろうサラリーマンとも、誰とも目が合わない夜。 上から東京の夜景を見下ろした。いつも通る交差点がすごく小さく見えた。誰…

花束が欲しい

天気が明日だけ悪いみたいだった。頭が痛くて、お腹も痛い。もし今死ぬなら、綺麗にお化粧をして、お気に入りの服を着て死にたいよ。自分の体の中で何が起こってるのかわからない。発熱。今まさに、わたしは悪い蛹。中が熔けて、新しい細胞が生命をかき消し…

宇宙すぎる、最近

小さい頃から星を観察するのが好きだった。田舎の川沿いの道で、寒い季節の学校帰りによく寝転んで星を見た。1時間くらい見ると満足してしまって、家に帰った。私は、星を見ている時、自分の生まれ育った「星」と対話していた。どこか懐かしい気持ち、地平線が…

小川

帰路、BGMは無かった。半年以上前のことなのにまだ夢に出て魘されるのか。人や物に執着しない。手放すことの楽しさを覚えたのが20代の頭というのは、なかなかに贅沢な子。整理整頓。必要最低限とは言うけれど、持ちたければもう少し持ってもいいよ。部屋が散…

魚の目

全部が壊れそうな毎日。みんなが少しずつ無理をして何とかなっている部活動。テレビに映る誰かがちょっとだけなにかを皮肉った。私はと言うと、テレビの電源を抜いていた。好きな誰かについて理解したい時、どうして最初から全部を知りたくなってしまうのか…