花束

去年仲良かった友達と、今年も同じ日を過ごせるかなんてわからない。それは、まだ出会ってない誰かと、一生の付き合いになる可能性があるのと一緒だった。朝だけど乾杯しよう、今年も私と貴方が無事生きてたことに。

私がいくら望んだって貴方になれないのは、救いでしょうか、呪いでしょうか。1番後ろの窓側の席から、斜め前の貴方の後ろ姿を何回もノートに描いたこと。本当に幸せだったら、きっと文章なんて書かないで暮らせるはずだよね。4年も何かを綴ってること、声を出さずに笑ってくれたらいいな。

そろそろ貴方に出会う前の人生を、貴方に出会ってからの人生が追い越すはずだ。ずっと好きだしずっと嫌いだった、私の悪い所を映し出す鏡、私のいい所を後で思い出させてくれるおまじない。そんなかけがえのない人に、また私は出会えるかな、私は誰かをこのくらいかけがえのない人にできるのかな。教室の匂いももうわからない。貴方が住む町のお城が好きになった。春が来たらお別れを思い出してしまうから、春が未だに好きになれないです。定規で真っ直ぐ引いたみたいな、白い紙に墨汁がのるような、あなたの筋の通り方が美しかった。作りたての鏡みたいだった、きっとありのままを容赦なく映したんだな。貴方に反射する自分を直視できないままで生きていたくなかった、痛くても良かったと思えた。
紙で指を切ったって、それを誰かに言わない人、私が泣いていたら、泣いても何もなりません、と言ってくれた人。

いつもあなたの方が、先に陽が登るのを感じている時、本当に地球って丸いんだと感心した。地学の授業、絶対に席が変わらなかった。
きっと、春を芯から好きになれたときって、この気持ちが無くなった時だ。何年経っても春は苦しいよ。
いつでも会いたいよ、暖かい春の空気、小さい方の体育館で在校生にしたお話、バスの中で痛かったこと、全部、まだ飲みこめない。カナダに咲いていた桜の方が綺麗だった、私のお葬式、貴方が産まれた日。