風邪になると、いつも母の手を思い出す。ヴィックスヴェポラップのツンとした匂い。母の手が私の頬に置かれた。冷たくて、気持ちよかった。大人になっても、あのときの母みたいに優しくしてくれる人がいた。わたしが熱くてバテてた時、タオルハンカチを水道…
「遅れてごめんね」と言うと、目の前の彼はコーヒーを一口飲んで、微笑んだ。笑った時に目尻にできた小さなシワが好きだった。 別れ話をしに来たのに、思ったより今日のAくんがかっこよくて、少し勿体なくなった。あっちはまだ振られるってわかってないから、…
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