おとな

抽象的。強いお酒。火花がでる煙草。ココナッツの炭の香り。適当に歩いてたら見つけた15時からの銭湯。ふわふわの犬。嫌いな街。一方通行を逆走。それで足りるのって量のごはん。気象予報士のお父さん。中学時代の部活動。将来の夢。能動的なお仕事。なんで…

水面

「東京は愛せど、何もない」って 埼玉住んでるあの子が言った楽しそうに歌うからつられて笑って、 4月1日の高円寺。月。毎日ピカピカの爪を見てよ。 貴方の神様になりたい。 隣で毎秒祈られたい。 気持ち全部知りたくない。 ずっと一緒にいようね、なんて言…

今日が終わっても

今日が終わっても 私たちは終わらないでいようね それは春が来るときの約束 4月1日は雨模様 新しいことしてみたくなっても 昔の街を思い出すでしょう 私という呪いが、貴方の季節を許しませんようにラブホテルのシャンプーの匂い 明日にはきっと違う香りだか…

東京は愛せど、

ずっと言いたいことがたくさんあって、でも口に出さない人生。手書きのメニュー、暖かい定食屋さんみたいな、そういう感じになりたいから、やっぱり何も言えなくてよかった。 iQOSの匂いを街で嗅ぐとき、胸がキュッとする。ファミリーレストランに入って、名…

花束

去年仲良かった友達と、今年も同じ日を過ごせるかなんてわからない。それは、まだ出会ってない誰かと、一生の付き合いになる可能性があるのと一緒だった。朝だけど乾杯しよう、今年も私と貴方が無事生きてたことに。私がいくら望んだって貴方になれないのは…

総武線 回想

久しぶりに降った雨があまりに気持ちよくて「祝福」かと思った。空を見上げて、ただそこには何も無かったけど、これがずっとあなたの所まで続いてると思うと悪くない。最近の暮らしは、まるで棚卸し。 悲しいくらい、合うものと合わないものが分かった。春が来…

超、好きだった

誰にも肯定されてないみたいな、そんな日に限って晴天だったりする。私の心の曇も、関係ないですよって天気に安心した。1週間背中に矢が刺さったまま生きてるような、そんな心地の時もあった。 誰かの悪意で指を切ったのよ。意外と傷は深くて、痛みはそこま…

鋭さと冷たさ

多分血が出ていた。爪と指の間に赤が溜まって、やがて指を伝った。いつもこんな風にしてるんですね。雪が溶けない街の中、この出来事を小さく手の中に閉じ込めて、ポケットに押し込んだ。イヤホンから流れていた曲は、もう今じゃ聴けない曲。1年以上前のこと…

みさきくんの八重歯

独り占めしたかったのに、出来なくて悲しかった。そんな日があった。マニキュアが乾かなくて、夜更かしをしてしまう日々。私の爪なんて別に誰も見てなくていいのにな、誰も私の事気づきませんように。 会いたい人に会えないフラストレーション。貴方は私じゃ…

いっしゅんのきらめき

部屋、ペンギン、オムライス。焼肉を全部戻した日、きっと私は憔悴しきっていたの。 時系列なんて無茶苦茶な日々、私は何をして、何をしなかったんだろうか。そういえば一年前もこんな事があったな。雑音。雑音、雑談、雑音。話し声がうるさくて、私はひとり…

激情

左手の薬指に光る銀色を見て、針を刺されたような、胸がキュッと締まる感覚になった。 あと何回こんな思いをしたらいい。そういう季節を繰り返して、私たちはいつか棺に入っていく。自分と人の違いで喜んだし、自分と人の違いでいつも苦しんでいる。周りの人…

あみもの

誰のものにもなりたくない。毛布にワンプッシュしたアクオリナのピンクシュガーがちょっと強めに香った。笑えるくらいに、何も要らない気がしてきた。夜が深くならないと眠れない。退屈な日、生姜の入った紅茶をじぶんで淹れて、なんとなく本を読んだりした…

ともだち

風邪になると、いつも母の手を思い出す。ヴィックスヴェポラップのツンとした匂い。母の手が私の頬に置かれた。冷たくて、気持ちよかった。大人になっても、あのときの母みたいに優しくしてくれる人がいた。わたしが熱くてバテてた時、タオルハンカチを水道…

雨が降らない日

「遅れてごめんね」と言うと、目の前の彼はコーヒーを一口飲んで、微笑んだ。笑った時に目尻にできた小さなシワが好きだった。 別れ話をしに来たのに、思ったより今日のAくんがかっこよくて、少し勿体なくなった。あっちはまだ振られるってわかってないから、…

くらし

雨なのに傘をささないで歩く新宿。歩けば歩くほど小雨になって、最後には降らなくなった。家に帰って手を洗うと、イソップで買ったハンドソープの香りがフワッと鼻に入る。私が手を洗ったら、つぎはきょうたくんの番。手を拭く前に、少し伸びた髪を鬱陶しそ…

官能的感覚

私の人生がシルバーだったから、貴方の真っ黒い人生の差し色になれた。関係を急ぎすぎるとき、その恋はもうすぐ終わりってこと。「ほんもの」はいつだってゆっくり。焦れったくなって待てなくて、いつもお利口さんの私のもの。最後まで私が待てなかったこと…

鮫の島

暑い夏の夜、橋の上で貰ったくちづけ。暑くて寒いような難しさ、私は明日どんな服を着てこの街を歩いたらいい。一緒に行きたかった川は、干からびて昨日無くなったらしい。あの時行っとけば良かったね、なんて意地悪を、私は平気で日記に書いてみせた。誰か…

プレゼントに、草臥れたお花

貰ったものを捨てる時ってどんな気持ちだろう、と思いながら、お花も、アクセサリーも、服も、香水も、手紙も、気持ちも、ゴミの日に出しちゃった。そんな夢を見た。 誰とでも話が合うわけじゃないし、好きな話をした時に、うんうんと自然に笑ってくれる人が…

はつこい

要るものと要らないものを分ける暮らし。一緒に売られてきたはずなのに、ペットボトルの本体と蓋を別にして捨てないといけないのは何故。教えてくれたのは、もう戻ってこない人。 わたしの言う美しさとは、朝の光だった。 誰かの家で気怠く浴びた朝陽も、公…

赤子を抱きしめる

水分が多い生活。1日に3回自販機の水を買う。涎が多いから虫歯になりにくい。そして、すぐに泣いてしまう。そんな暮らしで大丈夫です。わたしが守りたいと思ったものが、別にわたしが守らなくて良かったものだったとき。ただ見てあげてたら良かったんだね。…

私の星

自分が普通の女の子だな、と世界を諦めたのはおそらく小学校低学年くらいだったと思う。周りの子がキラキラして見えたから。さえちゃんは色が白くて顔が可愛かった。ゆなちゃんもおっとりしていて髪がつやつやで、なんでも知っていて好きだった。私は抜けて…

注射の時に歌う歌

地元の歯医者の歯科助手の腕にたくさんの線を見つけてしまったとき。高校3年生の私は、もう1個1個のなにかしらに動じないような頭になっていたように思う。線があるな、と思って終わった。それは、少なくともネガティブな意味を持つものに違いないのだけど、…

鈍く光る

幸せはきっと手元にあるときにその存在や輪郭を正確になぞることが出来ない。みさきくんにもう二度と会えないかもな、とぼんやり考えながらあの苦痛だった高校時代に思いを馳せた。プールの授業、水面がキラキラ光って私を驚かしてみせた。プールサイドが照…

しらべ

早朝の公園って私にとって切なさの象徴だ。あるときは、父親とのお別れの日だった。家の近くの公園に父が来ていて、母が私と妹を外に連れ出した。朝は、5時とか6時くらいだった。肌寒かったけど、長袖ではなかったと思う。私が5歳の頃から香港で単身赴任をし…

夜景を見て泣いた

1人で都庁の展望室に来た。金曜の夜だから、人がすごく多い。おそらく観光なのだろうなという集団とも、仕事が終わって1人で来たであろうサラリーマンとも、誰とも目が合わない夜。 上から東京の夜景を見下ろした。いつも通る交差点がすごく小さく見えた。誰…

花束が欲しい

天気が明日だけ悪いみたいだった。頭が痛くて、お腹も痛い。もし今死ぬなら、綺麗にお化粧をして、お気に入りの服を着て死にたいよ。自分の体の中で何が起こってるのかわからない。発熱。今まさに、わたしは悪い蛹。中が熔けて、新しい細胞が生命をかき消し…

宇宙すぎる、最近

小さい頃から星を観察するのが好きだった。田舎の川沿いの道で、寒い季節の学校帰りによく寝転んで星を見た。1時間くらい見ると満足してしまって、家に帰った。私は、星を見ている時、自分の生まれ育った「星」と対話していた。どこか懐かしい気持ち、地平線が…

小川

帰路、BGMは無かった。半年以上前のことなのにまだ夢に出て魘されるのか。人や物に執着しない。手放すことの楽しさを覚えたのが20代の頭というのは、なかなかに贅沢な子。整理整頓。必要最低限とは言うけれど、持ちたければもう少し持ってもいいよ。部屋が散…

魚の目

全部が壊れそうな毎日。みんなが少しずつ無理をして何とかなっている部活動。テレビに映る誰かがちょっとだけなにかを皮肉った。私はと言うと、テレビの電源を抜いていた。好きな誰かについて理解したい時、どうして最初から全部を知りたくなってしまうのか…

帰化

情報が沢山入ってくるのが不愉快。 人のことは知りたくないけど、知られたいと思う。私は相手のことは何も知らなくていいので、自分のことはすべて把握されたいな。貴方のことは見たくないけど、私のことは全部知っといて、とっても自己中心的でしょう。とて…