あみもの

誰のものにもなりたくない。毛布にワンプッシュしたアクオリナのピンクシュガーがちょっと強めに香った。笑えるくらいに、何も要らない気がしてきた。夜が深くならないと眠れない。退屈な日、生姜の入った紅茶をじぶんで淹れて、なんとなく本を読んだりした。誰の母親にもなりたくない。だれかとじぶんを完全に切り離して、テレパシーでだけ会話してあげる。

ちょっと日焼けした肌が新鮮だった。
夏がもう終わりつつあるんだなと感じた日だった。冬の支度をしないとね。今年の冬は何をしようか。ホットワインを沢山作って毎日飲みたい。りんごのシャンパンとアボカドを食卓に並べたい。夜に散歩。お気に入りの香りのキャンドルを買い占めて、寝る前につけて癒されたい。
夏にはお別れするの。わたくし、貴方には本当に呆れたんだから。毎年具合を悪くしている季節。お祭りも、花火も、川も、何もかもなくていい。冬の寒い日の張り詰めたような朝が好き。宇宙人は暑さに弱いの。それにまたどうせ来るんでしょう。嫌なの。