はつこい

要るものと要らないものを分ける暮らし。一緒に売られてきたはずなのに、ペットボトルの本体と蓋を別にして捨てないといけないのは何故。教えてくれたのは、もう戻ってこない人。
わたしの言う美しさとは、朝の光だった。
誰かの家で気怠く浴びた朝陽も、公園で夜を明かして4時頃小さく見えたオレンジも、実家にいる時に部屋が眩しく包まれたこと、全部大切な時間だった。全部を肯定してくれるような、そんな明るさが好きだったの。私もそうなりたいと思った。

クーラーの効きすぎたオフィスで名前を小さく呼んでみた。ずるい愛、一生変わらない、近いようで遠く、遠いようで意外とすぐ側に、なんてね。持ち運べるようなものでは無い、黙って立っている、やがて死ぬ、その時私も死ぬのかな。

貰ったものってきっとひとつも無かったな。でもあげたものもきっとひとつも無かったはずなの。カウントしない恋、私は貴方の母親になりたかったし、娘になりたかった。去年の夏の香りGUCCIのピンクの香水瓶、倒して割って、部屋中に匂いが溢れた。
私の気持ちっていつもこんな感じかも。揮発性、すごく香る、無くなったと思ったらふとした時にふわっとした。大切なものはいつも無くすのに。