足を組むな

私の前で考え事はよしてください。今は体のお時間です。
特別な人のことが特別じゃなくなった途端に特別じゃなくなった歌、さようなら。

ひとがどうしたら擽ったくなるかが小さい頃からずっとわかる。ある人は沢山褒めたらいいし、ある人は少し意地悪してみてもいい。ある人は、みんなに内緒でおみやげを渡す。出会って5分で誰のどこが気持ちいいかわかる。相手が何を1番嫌がるかもわかる。幼い時は寡黙な子だった。誰も私の話を聞かなかったから、どうしたら自分の話を聞いてもらえるのかずっと考えていた。

自由になりたい。バイトをやめたくなる時と同じみたいだった。1回全部辞めてまた新しくやりたいなと思ってしまう。持ちすぎると身動きが取れなくなる。自分の体とか、テクニックとか、持ってても邪魔じゃないものだけ持ってて、自分を現世に留めるものは1度手を離す。パッと両手を広げると、足元で鈍い音がしたけど、私はずっと上にいるから聞こえなくなっていた。
母に「わかちゃんはお友達と遊べないね」と言われたことを思い出した。定期的に1人で考え事をする時間が無いとしょんぼりする子どもだった。母は私を公園に連れていき、私が見えるところにただ座っていた。私がひとりで走ったり、ひとりでブランコに乗ったりするのをただ黙って見ていた。良い親だなと思う。そうして遊び回って、また保育園に行ける。ずっと人と一緒にいるとそもそも疲れちゃうんだろうな。みんなには迷惑かけるね。しばらく考え事をしたくないな。