怪物の部屋

終わった恋の方が好き。自分にとって都合がいいから。あの小さい町で私は何人の人を好きになって、何回苦い思いをしたのかな。何も叶わなかった。私が美しくなかった所為。

懐かしい匂いがした。好きすぎて痛かった。こんな狭い部屋で全てが始まったんだと思うと感慨深かった。この部屋で大企業の面接も今の会社の面接も受けた。この部屋で好きなデザイナーさんへのお手紙を書いた。この部屋で動画を撮って、この部屋でCGモーションを作って、この部屋で絵コンテを描いた。そして、貴方に会えた。痛い思い出だけじゃなかったんだ。大好きな街で、大好きな人達と大好きな歌を歌った。大声で。私の事嫌いにならないで、なんて言うのが失礼なくらい私のことが好きだった。ずっと愛してくれてありがとう。健やかに生きててくれて、もう十分だった。これからも帰ってくる度思うかもしれない。
仕事に向けていたエネルギーをどこに向けていいかわからなくて、今までなら我慢して踏みとどまっていたようなことを何度かしてしまった。私はそういうことがある度に、自分は人間らしくていいなと思う。この感覚が抜けなくて、東京に戻ってきた今も少しぼんやりしている。またちゃんと、100でエネルギーを向けられるようになりたいなと思う。
私の人間らしさを嫌いにならないでよ。私が人間らしくてもずっと友達でいて。呆れたり、遠くに行ったりしないで欲しい。でもそんなことも無理だし、それがわかってても辞められないものだ。全部ごめんなさい。全ての欲求に真摯に向き合うことでしか、自分を納得させられない。