夢の話

毎日夢を見る。
起きたあとは、何だったかなと思うが、起きて時間が経てば経つほど夢の内容を思い出す。

夢が現実で、現実が夢だったらいいのになと思う。

夢の中で私は、和歌子なのかどうなのかすら定かではない。でも、それさえどうでもいい。


夢の中で苦し紛れに出した答えも、もしかしたら意味があったのかもしれない。私がちょうど手のひらくらいの量の黒くてキラキラした砂を持ち帰って調べようとしたのも、何もかも。

夢に嫌いな人達は出てこなかった。
私を苦しめる人や出来事はあまりにも起こらない。好きな人たちばかりが出てきて、楽しいひと時を過ごす。

起きた時に、汗をかいていた。
夢に昔の好きな人がしょっちゅう出てきたりするのは、現実の自分を苦しめてないか。私の無意識が、私を苦しめる。ずっとこうだ、と思う。

夢に出てくるものはあなたの心を表す、などと夢占いのサイトに書いてあった。
私は、高校一年生の時に見た夢が忘れられない。湖の中にデパートの廃墟が沈んでいて、そこを2人で泳いだのだ。水の中だったが息はできて、服は着ていなかった。あんな無防備な夢が見れるくらいには、私は誰かのことが好きだったのだと思う。


夢と現実の区別がつかなくなることもよくある。私は、どっちも本当でどっちも夢かもしれないと思った。
いつか辛い夢を見てしまった時、何かが終わってしまった時、私は何を見ればいいのか。その時こそ、ほんとうに現実を見ないといけないのか。奈落の底にも、極楽の地にも私の居場所はない。天国の種類も地獄の広さも知らない。
魂はいつも、誰かの方向を見たり見なかったりしていた。