私と体温が違う人

冬がもう来ているんだなと思った。

最近は湯船に浸からずにシャワーですませてしまうため、寒い。少し開けた浴室の窓から入ってくる風の温度は、冬のそれであったのだ。

冬の朝が好き。冬の朝は、大切な思い出があるから。
幼稚園だか、小学生だか忘れたが。夢みたいな瞬間だった。私と妹はあの日の早朝に母に起こされた。その出来事の後は、疲れて寝てしまった。起きるとなにもなくて、夢みたいだった。


きょうたくんは、いつも体温が高い。私が低体温だからというのもあるが。
私は、違う体温のもの同士が体を寄せている時は必ずどちらかの体温にどっちもなってしまうと思っている。
最近だと、きょうたくんの温度に負けて私はすっかりほかほかになってしまった。
きょうたくんの体温は、なんて高いのだろう、代謝がいいのだなあなどと感心した。

今朝は、怖い夢を見た。
きょうたくんは夢なんか覚えていないから、私が鮮明に夢を思い出せることに感心する。知らない男が家に入ってくる夢だった。私は、鍵がかからない家で寝てしまう母と妹の不用心さにとても怒った。

あの日の出来事は夢だったのか。多分夢じゃないと思うが、母と妹に言っても思い出しはしないだろうな。私にとっては、最後の「父」だった。

夢の中で切りつけたうさぎたちは真っ赤になってビニール袋に詰められていた。明日のゴミ出しに出す前には息絶えてしまうだろうか。ビニールの中で静かに死を待っていた。