溺れたら助けに来て


今日は響太くんと川に行った。本当は海に行きたかったけど、川なんて行ったことなかったから、行ってみた。

駐車場から川まで、すこし歩いた。
木が沢山あって、嫌だった。できるだけ影を歩いた。私はずっと蜂が出るんじゃないかと怯えていたが、足元にクロオオアリがたくさんいることに気づいてからは、彼らを踏まないようにとそちらに気をつけて歩いた。
木が本当に沢山あって、トンネルみたいだった。
きょうたくんは足元が悪い中、すいすい歩けるからすごいと思った。


川なんて無縁だったから、すごくワクワクした。
私はきょうたくんと付き合ってから、なんできょうたくんとこんなにも違うのだろうと思う。
きょうたくんはフルコースのマナーなんて全く知らない人だが、川の楽しみは知ってるから。
トウシューズで簡単にステージを歩ける私は、舗装されていない道の歩き方が分からない。川は海と違ってベタベタしないと言われても、共感出来ない。

川は涼しかった。ちょうど日陰になっていて、水に浸かっていない部分も暑くなかった。

浅いところに家族が1組と高校生集団が奥の方に1組、陸に外国人の女の人が4人(自撮りしに来たみたいだった)。

男子高校生の大きい声をBGMに、川を覗く。水は透き通っていて、小魚が沢山泳いでいるのが見えた。私の足首の辺りにも何匹も集まってきていて、すごく面白かった。
着替えがなかったので足しか浸かったらダメだよと言われていたのにしっかり全身浸かってしまった。

きょうたくんは、私が大胆なことをするとすごく面白がる。それが面白くて、いつも変なことをしてしまう。
私が全身水に浸かった瞬間、びっくりした顔をしてそのあとめちゃくちゃ笑っていたから、ウケて良かったなあ〜と思いながらぷかぷかした。

親子が水切りをはじめたので、私も負けじと石を投げてみたが全然上手くいかなかった。
前に森川葵が22回も石を跳ねさせていたのをテレビで見たことを思い出した。あの人は凄かったんだなあ
きょうたくんが投げた石は、必ず4.5回は跳ねていた。私は、やっぱりきょうたくんと私って全然違う、と思った。
鍛えている響太くんの逞しい腕と、自分のぷにぷにした腕を見比べて、情けないなあと思ってしまった。
多分私が溺れたら、すぐ助けに来てくれるんだろうな。



そのあと、めちゃくちゃ大きい蜂が出た。水を飲みに来ていたのかもしれない。私は耳元でブウンと羽音がした時、すごくビビってしまって、ぎゃ〜!と言いながら蜂から離れた。きょうたくんは何度か蜂に体当たりされていたがなんとも思ってないみたいで、でけえ、と言っていた。


帰りの車で、わしゃこは自然に向いてないねえと言われた。なんか悔しかった。
でも、魚が沢山いたし、水はキラキラしていたし、途中の道にオオアリもいたし、また遊びに行きたいと思う。今度は着替えを持っていこうと思う。