振り向いたら撃たれていた

人に言えないようなことが山ほどあった。可愛くて、完璧だったのに。わたしが撒いてしまった悪い種が発芽しないようにいつも震えている。

最近は外に出るだけで熱くて、それで余計無力になる。無気力なまま一歩踏み出したら、空き缶を踏んでこけてしまった。外になんか二度と出てやるもんか。それでも夏はわたしの生活も溶かしてしまって、家に返してくれないの。意地悪な人。

 

わたしの好きな土地も、わたしの好きな人たちも、全部暑さで溶けてつながってしまえば良かったのに。東京と熊本をつなげる術を知らないでしょう。わたしの好きな人たちは、全員わたしに取り込まれて、そうやって年をとって一生を終えていけば良い。毎日デスクに向かって、少し頑張って、少し頑張らない。積もり積もった頑張らないも、頑張るも、どちらも本物のわたしなのに、どちらかしか見せられないならどうしたらいい。人の気持ちがわからなくて、どうしようもなくなった。地元のイオンのアイスクリーム屋さん、秋葉原のまだ行けていないメイドカフェ、もう引っ越してしまって二度と行けない友人の思い出の部屋、4年間通った大学も、全部同じ日に回りたい。台東区にあるこってりラーメンごっつも、下通りの黒亭も、歩いて行きたい。好きなものが全部近くにあって、好きな人も全部近くにいるわたしだけの国をつくりたい。わたしに取り込まれて、わたしが死んだら全部なくなってしまえば良い。みんなとつながれたら。齟齬がなくなって私は誰も傷つけずに済んだ。それだけ。

また人を傷つけようとしている