許してください

私たちきっと一緒にいられないね、と思って切なくなった午後があった。気持ちが芽生えた途端に想像した別れは、思ったより早めに来た。

あとちょっと、こうしていれば。あとちょっと、貴方が近くにいたらいいのに。
ため息をついてみても、何も変わらないくせに。


あるとき、人類は私の傍で死んでいった。遺言を書く暇も与えられなかった。私の中の熱すぎると同時に冷たすぎる「アレ」が、みんなの息の根を止めていった。

冷やかしで私に近づかないで、人をダメにしてしまうから。
私に消費されて抜け殻になった誰かも、また今年の夏を待つのか。
君は私のことをもう憎めなくなったんだ。
アイスがとけて腕をつたった。それを拭うのさえ億劫なくらい、私は動けなくなったから。

ポケットに手を入れると、くしゃっと音がした。
私の汗でシワシワになったそれを広げてみると、また、いつかの何にもならない模様があった。
私はそれを見て立ち尽くすしかできない。気づけばあたりは暗くなっていて、その紙切れには火がついていた。
しばらくパチパチと燃えていたけど、やがて消え、また夜が私を一人にした。

行かないでって言ったのに