目安にしないで

測られたくないから、測定されているとわかった途端に分度器を壊した。一瞬で割れたそれを見て貴方は何を思ったの。やっぱり聞きたくない、口を閉ざしたままでいて。

大きく息を吸って吐き出した。もう空気は白くなったりしなかった。本当に、冬が終わってしまったんだね。鼻の奥がツンとした。花粉のせいで痒くなって、鼻腔が湿った。
誰もが持てないものを簡単に手に入れてしまった時、謙遜するのか、自慢するのか。こうやって考えるのが無駄なくらい、私は予想が出来ないでいた。燃えるゴミを捨ててみた。

自慢なんてしないような人の自慢話。傲慢な人間が時たま見せる謙遜。同じくらい魅力的だった。それと同時に、ずるいとおもう。分かりやすくて、ずるい。私の多面性が私を苦しめた。どうやら私って、周りの人からするとわかりやすい人間では無いみたいだから。二面性くらいだったら、まだ面倒くさがらずに私の事口説いてくれていたの。それを上手く演じられる才能があったら、はたちになる前に笑えていたのかな。

燃えるゴミの割に、燃えないゴミ。もう暫く来ない町。朝焼けが私の人生を急かす。タバコを吸っている場合ではない。また誰かが私を測ろうとするから。
私を測らないで。そしたらきっと、私の凄さがもっとわかるよ。はやめにおいでね、私は急かしたりしないけども。