1度くらい愛されてみたかった


目が濡れていた。それは、人のせいでも自分のせいでもなかった。
例えば、毎日のように色んな人に出会う、別れる。そしてそこに私はいない。寂しさでもあり、優しさでもある。煙草の火はいつの間にか消えていた。

誰かのために贈られた曲を、私達もきっと誰かに送りたいと思うのだ。何も伝わりやしないのにと悪態をつきたくなる。何も見せないまま死んでいく。夜逃げすると言った彼女が持ってきた大きなバックには、何も入っていなかったじゃないか。

ラブホテルのライターで消えた火をつけた。
一緒に行ったことの無いホテルの名前。こんなものになんの意味もないし、こんなことをしても何にもならない。それでも私がこれを捨てられないのは、誰かの前で使ってしまうのは何なのだろう。

手は繋げなかった。足が絡まった。置いていかれた。父を殴って捨ててしまいたい。

私が生まれなかった時のことを考えた。母はきっともっと優しい人だったかもしれない。
たまたま産まれてきたにしては、たくさんやり過ぎてしまった。その割に、弁解する言葉を何ひとつとして持ってない。



はやく、星に還りたい。
そのときは、必ずついてきてください。愛しい人たち