鋭さと冷たさ

多分血が出ていた。爪と指の間に赤が溜まって、やがて指を伝った。いつもこんな風にしてるんですね。雪が溶けない街の中、この出来事を小さく手の中に閉じ込めて、ポケットに押し込んだ。イヤホンから流れていた曲は、もう今じゃ聴けない曲。

1年以上前のことを未だに考えたりして、憂鬱な気持ちになる。最後に頭を撫でてくれたのっていつだっけ。宝物だったのがそうじゃなくなる瞬間、とても苦手。私が大事にできなかったんだって思った。本当はもう喋れる仲じゃないのに、ちゃんと嫌な顔しながらわたしの悪口をわたしに言う少年誌的存在、なみだ。空っぽになったのは私じゃなくて貴方だったってこと、遠く離れてから気がついた。私は、昨年より毛の長い猫になったから、色んな人が来ては私を撫でて、また出掛けていきますよ。わたしに何かを決める権利は最初から最後までずっと無いけど、ただ忠実に、良い子風でまた遊びに来てくれるのを待っています。本当は少年誌なのにな。

チクッとしたけどもう遅かったから