パレット

いつもは降りないような駅に降りた。
キラキラしていて、少し落ち着いた街。新宿が遠くに見える街。大きな駅の入口には、イルミネーションが飾ってあった。
東京タワーに登った時のことを思い出した。気温が今日と似ていた。あのとき、時間が止まれば良かった。時計の針が二度と動かなくて、私ともう二人だけで居られればいいじゃん。歳も取らなくて、何処までも行きたくて、でも何処にも行けないような暮らしをずっとして。東京タワーの赤が、青い空に映えていた。もし色になれるなら、この赤になりたい。私の事忘れないでね、絶対に聞こえないような声でお別れ。