夏がわたしを許さない

ベランダで暴れるセミの音で起きた。
セミは、多分もうすぐ死んでしまうような気がした。
1階に降りるともう母の姿はなくて、何かを焼いたちょっと美味しそうな匂いと、省エネに設定されたエアコンの風があった。
そのまま家のゴミを全部集めて、八代市指定ゴミ袋に詰めた。ゴミ箱からゴミを移す時、臭くて「うっ」となった。

夏は好きじゃない。

外に出るともう暑くて、ゴミ収集所までの短い距離もできるだけ日陰を選んで歩いた。

夏は浮かれた思い出が多すぎる。
プールも、花火も、お酒も、体育祭も、誰かとの食事も、一つ一つは大事な思い出だけど、夏という括りで見ると好きと言えないのだった。

早く夏が好きと言えるようになりたいな。
夏の夜は、まあまあ好きです。