深夜のコインランドリーで愛を拾う

深夜のコインランドリーで、洗濯機が回るのを見ていた。残り時間は12分。このあと乾燥機に20分かけるので、あと32分待つ。

昨日見た夢を思い出した。友人と海に行った。
透き通った海だった。服を着たまま海に飛び込む。良い日だった。友人は全員水着を着ていた。スタイルが良かった。というか、友人はセックス・アンド・ザ・シティの4人だった。なにそれ。

コインランドリーは良い。
非日常感がある。コインランドリーに一人でいると、ここで踊り出したいなと思う。実際に踊ってみたことはない。コインランドリーは、意外と人が来るから。

どこに行くときも、必ず本を鞄に入れてしまう。そして、その本を出先で読むことは稀だ。絶対に読まないのに、鞄に本を入れてしまうのは何故だろう。
携帯の充電が切れた場合生じた暇に対しての最終の保険なのか?または家を出る瞬間には読書欲があるのか。
今日入れてきた本は、「ホテル・ローヤル」。直木賞とやらを受賞したらしい。帯に書いてあった。なんなら、映画化までしたみたいだ。波瑠が出演している。私は波瑠の顔が嫌いだ。

この本は、以前出先で購入した。書店の古本コーナーで適当に手に取ったのだが、読み進めていると自分と同じ名前の登場人物がいた。漢字まで同じだった。
その出来事があってから、暇な時は古本屋で適当に本を買うというのをやっている。なかなかいい。

1度読んだ本、何回も読むか?私は何回も読む派。ホテル・ローヤルも何度も読んでいる。
ちなみに、1番好きな小説は「冷静と情熱のあいだ」だ。
ジュンセイの視点が良い。彼のあのどうしようもなさ、やるせなさに共感する。あれは誰でも持ち合わせてるように思うから。あの小説読んで、ちゃんと胸を痛める人と恋愛をしたい。

何度も読んでいるもの、「とりつくしま」「地獄変」「憧れの女の子」「蛇にピアス」「共喰い」など。
意外と読んでなかったな。
最近「地下にうごめく星」という本を買った。これも何度も読み返したらいいな。


洗濯が終わったので、乾燥機に洗濯物を移し替えた。コインを2枚入れる。あと20分、何をしようかな。うたた寝をしてもいいな。携帯でゲームをしてもいい。Twitterを見ていてもいい。20分なんてすぐ来るのだから。


最近は、2日に1度しか寝ない。

お風呂も2日に1度。

ご飯も1日に1食だ。

節電?

人生を節約してもきっといい事無いだろうな。省エネで生きていくって、なんとなくクールキャラっぽいが、私は一生クールキャラ側にはなれないんだから。
早く死ぬだろうな。

早く死ぬだろうなと思ったあと、ボーーーーっとしてしまった。
これは節電ではない。
省エネは、身を滅ぼす。少ない燃料で良いパフォーマンスなんてアホだ。良いパフォーマンスを継続してやり続けるためには、ドカ食いをして、バカみたいに寝て、娯楽もやる。
精神も体も潤すしかないのだ。良いパフォーマンスをするために。










乾燥機が回っている。あと7分。いよいよ何をしようか。

踊ってみてもいいかもしれない、と思った。今日は気分がいい。時間も深夜だし、今のところ誰もコインランドリーに来ていない。
クラシックバレエを踊ることにした。ジゼルのバリエーション。曲を流して、踊り始めた。
ターンをするところで思い出したが、教室に通っている頃、あまりバレエが上手くなかったのだ。体重が軽くて、体幹がしっかりしていなかったため、ふわふわした踊りだったと思う。
バレエ教室を辞める時、同時期に辞めた友達に「そういえば、私は先生に上手だから辞めないでって言われたんだよね〜」となんの悪意もなく言われた。私はそんなこと言われなかった。
そっか〜、と返事した気がする。あまり上手く笑えていなかっただろうな。

曲が終盤に差し掛かり、連続ターンを決めようとした時におじいさんがコインランドリーに入ろうとしてくるのが見えた。
おじいさんと目が合い、気まずくなった。
踊りをやめて、曲をとめた。残り時間は2分。

入ってきたおじいさんも気まずそうだった。

人生みたいだなーと思って、残り2分黙って待った。洗濯物を急いで出して、そそくさと帰った。